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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、「超悦」を経営理念とし、人と技術をつなぎ、お客様に満足を超える感動と悦びを与える商品・サービスの提供を通じて、投資家や株主の方に期待を持っていただける会社作りを目指しております。

(2)目標とする経営指標

 当社は、中長期的な経営課題として、事業収益力の強化と投下資本に対する収益率の向上を目指して取り組んでおります。

 2021年8月20日に発表した2022年6月期から2024年6月期までを対象とした中期経営計画において、連結経営指標として、EBITDA10億円及びROE10%、セグメント別経営指標として、ゲーム事業EBITDA10億円、モバイル事業EBITDA2億円を掲げております。

 前期(2022年6月期)、当期と2期続けて赤字決算となり、資本力が低下したため、この経営指標の設定時とは前提に大きな乖離が生じております。各事業セグメントの経営方針は「ゲーム事業の収益性向上」及び「モバイル事業の安定成長」でありますが、目下、そこへ向っていくための前段階として、ゲーム事業においては収益性の安定化、モバイル事業においては収益性の改善が、喫緊に取り組むべき経営課題となっております。

 まずは、各事業の収益構造とリスクバランスを踏まえた上で、安定的な利益基盤を確立することを最重要事項とし、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益の各段階の利益指標を重視してまいります。ROE10%については、現在の資本効率において達成すべき水準として位置づけなおし、今後、自己資本を回復させていく中においては、最低限確保すべき収益性の目標値として追求してまいります。EBITDAについては、のれんの償却額などの変動の影響を受けることとなりますが、当社の事業ポートフォリオ戦略において、M&Aは重要な戦略上の手段であり、EBITDAは潜在的な将来収益力を測る指標であると考えております。各事業セグメントにおいて目標値を掲げておりますが、現在いずれの事業セグメントにおいても、営業利益とEBITDAとの差は狭まっている状況にあります。引き続き、営業利益の増加と併せて見るべき指標としてEBITDAの増加は重視してまいりますが、将来的な利益増加につながる事業戦略上の取り組みを行っていくことが当該指標を設定した本質的な狙いであることから、M&A等の手法に限らず、将来収益力の向上に取り組んでまいります。

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社は、事業ポートフォリオ戦略において、ゲーム事業については、ゲームコンテンツの企画・開発による価値創造を通じて受注の拡大を目指すとともに、ゲーム運営サポート分野の収益性の向上に取り組み、また、技術を活かした受注分野の拡大や新規領域への展開を試行しております。モバイル事業については、安定成長に取り組むとともに、周辺領域の事業機会の探索を継続しております。

 ゲーム業界におきましては、各種の余暇産業が回復するなかで、余暇時間の獲得競争が激しくなっております。スマホゲーム市場では、コロナ禍の反動減が出ておりますが、新作タイトル等のダウンロード数推移は底堅く、ゲームアプリへの関心は依然高い水準にあることから、再び拡大に向かうことが予想されております。一方で、上位タイトルは安定的な継続収益を基にした各種の機能や楽しみ方の追加により、そのポジションをより強固なものにしており、長期プレイユーザーのサンクコストの増加及び国内アプリ市場での新作ゲームに対する期待値の上昇とともに、新規ゲームアプリの投資リスクやヒット創出ハードルは上がっております。他方、コンシューマー市場では、ジャンル等のユーザー人口規模に応じた売上予測がしやすいことから、新規タイトル開発において投資比率が増加しております。どの市場においても、無料で遊べるAAAクラスのゲーム体験によって期待値が底上げされるなか、開発費の高騰から、マルチプラットフォーム対応や海外展開が前提とされることや、長期的且つ多様な回収に向けたコンテンツ戦略やフランチャイズ展開性を求めるようになっていることから、それに即したプロジェクトの厳選と集中の傾向が強まると予想されます。

 このような環境のなか、当社ゲーム事業におきましては、ゲームの進化に伴って日々高まる要求水準に応えていくなかで、マルチプラットフォーム対応や海外展開を踏まえたゲーム作りのノウハウの蓄積に取り組むとともに、必要とされるスキルや知識の習得だけでなく、価値創造に重きをおいて、クリエイター人材の厚みを高めてまいります。

 携帯電話市場におきましては、オンラインでの手続きが整備され、オンラインへのシフトが徐々に進むなか、実店舗網の最適化に向けて統合が進むものと予想されます。端末の買い換えサイクルについては、端末価格の適正化や通信料金の値下げにより、乗り換え時の買い換えメリットが低下するなか、高額化する最新機種に対する購買意欲の低下もあって、買い換え間隔が伸びており、それに合わせて、端末修理サービス等の利用も身近になってきております。通信料金と端末代金の完全分離導入から3年以上が経過するなか、端末購入に対する値引き上限などについて、改正法の施行状況を踏まえた見直しが検討されておりますが、5G通信など新たな需要の喚起要因となるものは弱く、現在の利用機種を長く使用する傾向のなかにおいて、その影響が注視されております。

 このような環境のなか、当社モバイル事業におきましては、来店者数の前年割れ傾向は続くと予想しております。キャリアショップ部門においては、来店予約の定着により目的来店化していることから、接客効率の改善についてさらに進めてまいります。端末販売面においては、販売価格の適正化に適合しつつ、価格設定の見直しを適宜実施し、適切な販売利益の確保と1顧客当たりの利益の増加に取り組んでまいります。販売店部門については、キャリアショップでは行っていないサービスや拡充サービスにおいて差別化を図り、地域密着型の出店戦略において商圏に潜在する収益機会を捉えてまいります。

(4)会社の対処すべき課題

 当社グループは、前連結会計年度(2022年6月期)において営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、当連結会計年度(2023年6月期)におきましても、営業損失239百万円、経常損失260百万円及び親会社株主に帰属する当期純損失469百万円を計上したことから、2期連続して営業損失及び経常損失を計上しております。これにより、シンジケートローン契約の財務制限条項に抵触しております。また、これらの損失により純資産が過去の基準時点よりも一定割合下回っており、他の財務制限条項にも抵触しております。当該財務制限条項の抵触により、当連結会計年度末の借入金残高のうち1,181百万円について期限の利益を喪失する可能性があるなか、手元資金は当該借入金よりも少ない状況にあります。これらの状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 当社グループは、当該状況の解消又は改善を図るべく、以下のとおり、業績の回復及び安定化に向けた施策を講じるとともに、財務基盤の改善に取り組んでおります。

1.事業収支の改善について

① ゲーム事業の収益性の安定化

 営業体制を変更し、適時な案件受注に向けて取り組んでまいります。

 当社グループのゲーム開発におきましては、新規プロジェクトを一旦受注しますと、ゲームの完成まである程度安定した受注を継続して確保できてきましたが、昨今、案件の大型化に伴う開発継続審議の厳格化から、発注者が開発途中で中止を意思決定することも増えており、当社グループとしましては、予期せぬ開発中止により、当該開発に携わっていた人員の余剰が発生するため、出来る限り速やかに新規案件への移行が重要な課題となっております。

 しかしながら、中止判明後に新規案件を適時に受注することは容易ではなく、開発が中止されるリスク等も勘案しながら、営業活動を進めて行くことが必要となっております。

 当社グループは、従来より案件獲得から開発管理までをプロジェクト責任者が統合的に行ってきておりましたが、このような環境変化の中、開発中も同時並行して案件獲得を推進するため、開発にプロジェクト責任者のリソースの多くが割かれている状況を踏まえ、新たに別途営業に専念できる人員を確保する体制を敷いてまいります。併せて、本営業体制変更の効果を高めるため、経営のトップもこれまで以上に積極的に新たな営業体制をまとめて率いることで、多様な営業戦略を可能にしてまいります。

 また、新規案件の獲得に関しては、受注確度及び受注時期に関する情報の把握の頻度及び精度を上げるとともに、開発中案件のうち次フェーズの開始が保留となっている案件の今後の見通しについて、開始が決定されるまでの期間の業績影響度を評価する体制を強化する取り組みを開始しております。これにより、開始に備えた待機人員等に伴って将来発生しうる損失リスクの予見性を高め、待機期間の長期化などによる損失が拡大する前に受注案件の優先順位の変更や他案件への人員配置などを判断し、リカバリー策の実行をしてまいります。

 これらの施策により、ゲーム事業の収益性の安定化を図ってまいります。

② ゲーム事業のリスク管理体制の強化

 当社グループは、前期に発生したゲーム事業における多額の損失の発生を受け、投資経営委員会を発足しております。

 この投資経営委員会は、主に経営判断に属するリスクが生じる可能性のある事業等の開始、中止、続行等について、その判断に特段の問題がないか等について、個別及びグループ全体のリスク管理視点から審査をする機関であり、特にゲーム事業における大型案件の受注や継続判断については、連結業績におけるリスクを踏まえて評価するとともに、リスク状況のモニタリングを強化し、重大な収支悪化の防止に向けて受注条件や受注体制に対するチェック機能を強化する取り組みを進めております。

 これにより、ゲーム事業の収益悪化に対するリスク管理体制を強化してまいります。

③ モバイル事業の収益性の改善

 モバイル事業におきましては、完全分離プランや値引き規制等の法改正の施行以降、収益性が低下しており、当期においては、損失を計上するに至りました。特に従前より価格訴求力を中心としていた首都圏店舗において損失が拡大しており、今後も事業環境の底打ちが見通せない状況であることから、店舗損益の回復が困難と判断し、2023年6月30日をもって首都圏4店舗を閉店いたしました。

 また、端末の長期利用ユーザーが増えるなか、携帯端末の修理需要等が伸びており、首都圏エリアにおいても店舗利益が見込まれる状況になっていることから、地域密着型の店舗戦略と併せて商圏調査を推し進め、収益機会の拡大を追求してまいります。

 これらの施策により、モバイル事業の収益性の改善を図ってまいります。

2.財務基盤の改善について

① 運転資金の確保

 モバイル事業の不採算店舗の撤退に伴う差入保証金の返還及び棚卸資産の圧縮、当社グループの主要事業ではなく株式保有によるシナジー効果の薄い関連会社株式の譲渡、並びに本業に影響のない資産の売却等により、運転資金の確保に取り組んでおります。

 また、「1.事業収支の改善について」にて記載の改善策を踏まえた当社グループの利益計画について、現在、各金融機関に評価いただいている過程にあります。2023年3月に開催した各行とのミーティングにおいて、融資残高の維持の更新を依頼し、短期での更新を継続しておりますが、出来る限り早い時期に1年単位での契約更新をしていただける様に全ての金融機関からの同意を得るべく協議してまいります。

 取引金融機関とは緊密に連携を行い、将来必要となる資金についてもご支援いただけるよう良好な関係を継続できるよう対応してまいります。

② 財務体質の抜本的な改善

 財務体質を抜本的に改善し、財務基盤の安定性を回復するため、金融機関以外からの調達についても適宜検討を進めてまいります。

 上記のとおり、足元においては、当該状況の解消又は改善が最優先課題でありますが、当社の中長期的な事業戦略における課題については、次のとおりであります。

 ゲーム事業においては、新規開発案件の予算規模が増大するなか、大型案件をマネジメントできる人材の育成が重要な課題となっており、一方で、細かな受注や小規模案件が増加した場合には、マネジメントリソースに対する負荷増大と効率の低下、並びに担当する個々のクリエイターやチームの精鋭化が課題になってきます。モバイル事業においては、店舗運営体制の強化や事業拡大を目指すなかで、次代を担う中核人材の育成・確保の取組みが課題であり、新たな人材の採用と育成が欠かせない状況となっております。これらの課題を踏まえ、以下のとおり取り組んでまいります。

 人的資本経営の観点から特にゲーム事業においては、ゲームコンテンツという無形の価値の創出に対して対価を得ており、その源泉は人的資本にありますが、これによって獲得する会計上の価値は、主にセグメント利益(営業利益)によって評価しております。しかしながら、当該数値のみに傾注した場合、会計上において必ずしも反映されない知的財産等の無形資産の獲得機会を逸する可能性があることから、当社グループの人的資本価値を経営戦略に沿って最大限に引き出し実行していく事業体制及びその遂行状況を適切に把握して経営判断に活かしていく管理体制の確立が重要な課題であります。そのため、営業利益等の指標を重視しながらも、併せて財務諸表上の数値に表れない人的資本への投資を促進するとともに、その資産的価値の把握を強化するなど、当社グループのゲーム事業に即した人的資本経営の取り組みを推進してまいります。

 新規事業及び周辺事業領域への進出に関して、主に事業ポートフォリオ戦略からM&Aの手段を中心に検討してまいりましたが、成長事業を生み出す土壌を醸成し、何度でもチャレンジできるようリスク管理することも、当社グループの長期的な発展のために重要と考えることから、社内スタートアップなど小規模プロジェクトとしての取り組みを行い易くするとともに、同時にグループ全体のリスク管理体制の下で投資リスクがコントロールされるよう意思決定の仕組みを整備してまいります。

 人材の確保及び採用力の強化に関して、ゲーム事業及びモバイル事業ともに人的資本が要となっていることから、今後の成長を目指す上で優秀な人材の獲得及び保持は重要な課題であります。採用活動力を高めるため、自社サイト等において採用を意識したブランディングを図り、自社の強みや競合他社にはない魅力を知ってもらえるように努めるとともに、競業他社の動向を見ながら、人材の採用に繋がる給与条件等の提示及び維持ができるよう、事業のコスト構造を踏まえた給与水準の設計や人事制度及び組織体制の見直しを行ってまいります。また、早期にチームの一員として有機的に繋がり、高いパフォーマンスを発揮すると同時に、キャリアとしての専門性を高められるよう、効果的な人事サポートと人材育成の仕組みづくりに取り組んでまいります。

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