イリソ電子工業 【東証プライム:6908】「電気機器」 へ投稿
企業概要
下記の文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月28日)現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社は「人の心を尊重し、豊かな価値を創り、社会貢献に努める」ことを経営理念とし、全社員の知恵をお客様の課題解決に注ぎ、お客様が提供する製品・サービスの未来に続く架け橋となるべく、「顧客価値を創造する100年企業」となることを目指しております。
2023年4月には、新たに当社のパーパス(存在意義)として「私たちは、社会やお客様の期待を超える“つなげる”を実現します」という言葉を策定し、当社が製造するコネクタを通して、人と環境にやさしく、様々な機能を容易につなげる未来を創造していくことを、社会に対して実現したいこととして掲げました。
(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
当社の事業領域において、車載関連市場では100年に一度と言われる電動化によるパワートレイン部品の増加、自動運転に向けたADAS(先進運転支援システム)の普及という2つの大きな変化が、またインダストリアル関連市場では自動化・省人化に向けたFA機器・ロボットの増加、次世代移動通信システム「5G(第5世代移動通信システム)」の導入・拡大という変化が起きております。
いずれの市場における変化も当社が培ってきた三次元可動並びに大容量情報伝達等の独自技術による当社コネクタ事業を飛躍的に拡大する好機ととらえ、グローバルでの成長市場への展開を重点戦略として、顧客ニーズを先取りするマーケティング、顧客ニーズに対応した顧客密着型営業体制により、お客様の期待を超える製品開発を目指しております。また、生産・サプライチェーンにおいても、グローバル情報ネットワークを活用し、最適生産拠点の決定、集中購買・複数購買、各生産拠点での材料の現地調達、内製化・合理化を推進し、グローバルでのQCD(品質・コスト・納期)をより一層強化していくことを目指しております。
当社は、以上の市場環境の変化を確実に捉え、2030年までに接続部品業界でグローバルトップ10入りを果たすことで、事業規模の確保とブランドの向上を図り、売上高1,000億円を目標とする長期ビジョンを策定し、グローバルでの新規顧客開拓並びに、海外生産拠点の拡大を推進して参ります。
中期目標として、2020年8月4日に中期経営計画(2020~2022年度)を公表いたしましたが、その後の自動車販売台数の回復やxEV(EV、FCV、PHV、HEV、HV)の急増等、市場が大きく変化していることを踏まえて、2021年5月10日に業績目標の見直しを中心とする「見直し中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)」を策定しました。
①業績目標
当社は、この「見直し中期経営計画期間」の2021~2023年度を、成長軌道への回帰と長期ビジョン達成の基盤を固める3年間と位置付け、2024年3月期に売上高520億円、営業利益率20%の達成を目指す計画を策定しました。
市場別では、販売台数が増加する電動車向けの拡販を加速すると共に、5G等の新たな市場に対して新製品を開発し、車載分野、5G、ロボット分野を伸ばす戦略を取っています。
一方、計画時から市況は、コロナ感染の長期化、ロシア・ウクライナ紛争等大きく変化しており、現時点での進捗状況は、後段の「④見直し中期経営計画の進捗状況(売上高、営業利益率)」に記載しております。
②重点施策
上記の位置付けと業績目標の下、当社は、以下の重点施策に取組んで参ります。
a. 当社が狙う市場セグメント並びに戦略の明確化
・車載市場において伸長するxEV、ADAS等重点領域での拡販強化
・インダストリアル市場のグローバル顧客に対するカバレッジ強化
・顧客、市場の特性に応じた販売チャネルの多様化
b. グローバル営業体制強化
・海外営業体制の強化とグローバル・サポート体制構築
・業界№1スピードでのワンストップ顧客対応
c. 可動(フローティング)(注)を核とした製品開発力の強化
可動(フローティング)テクノロジーの進化による革新的接続を実現すべく、
・業界№1、Only one製品開発
・お客様の付加価値を創造するOnly one製品開発
・新たな市場ニーズに応える新製品の開発と攻勢
により、顧客ニーズを先取りした、先進技術製品を活用したソリューション提案を実施
(注)端子と端子のピッチ方向、ピッチ方向に対する垂直方向、篏合方向のすべて、またはいずれかに
動き、その篏合ずれを吸収するように設計されたコネクタの技術。
d. 品質力、コスト力、生産効率、生産能力の向上
・品質の向上(サプライヤー管理・品質保証体制の充実、クリーンリネスの追求等)
・設計標準化、VE/VAによる材料共通化、再生材料使用等コスト力強化
・設備・金型の標準化、スマートファクトリー等による生産効率・生産能力の向上
e. 経営インフラの強化
・基幹システムの刷新(グローバルITシステムの再構築とBPRの推進)
・ESGの拡充(CO2排出削減、多様な人財活用、レジリエンス経営の強化)
③経営目標
・見直し中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)
| 2021年3月期 (実績) | 2022年3月期 (計画) | 2023年3月期 (目標) | 2024年3月期 (目標) |
売上高 | 365億円 | 420億円 | 470億円 | 520億円 |
営業利益 | 29億円 | 67億円 | 85億円 | 104億円 |
営業利益率 | 7.9% | 16.0% | 18.0% | 20.0% |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 21億円 | 48億円 | 60億円 | 75億円 |
総資産 | 639億円 | 670億円 | 720億円 | 780億円 |
自己資本比率 | 85.0% | 86.0% | 87.0% | 87.5% |
設備投資 | 48億円 | 68億円 | 75億円 | 80億円 |
研究開発費 | 12億円 | 14億円 | 16億円 | 18億円 |
EPS | 90.8円 | 203.7円 | 256.6円 | 317.5円 |
ROE | 4.1% | 9.0% | 10.0% | 12.0% |
※為替レート設定はUSD105円、EUR127円(2022年3月期~2024年3月期)
④見直し中期経営計画の進捗状況(売上高、営業利益率)
世界経済は、新型コロナウイルスによる経済制限の長期化、ロシア・ウクライナ情勢の長期化等により、グローバルサプライチェーンの混乱、世界的なインフレ等、不透明な状況が継続しました。当社の主力事業領域である自動車市場においても、半導体等の部品不足等の影響も加わり、回復を見込んでいた世界の自動車生産台数は想定より大きく下回り、正常化には至っておりません。そのような環境下ではありますが、売上高は、自動車の電動化の進展による車載関連市場でのパワートレイン分野と中国での設備投資需要に応じたインダストリアル市場の増加、及び為替が円安に推移していることもあり、見直し中期経営計画に対して、2022年3月期までは上回る水準で推移し、2024年3月期も同様の計画としています。一方で営業利益率は、想定していた時点と比較して、操業度の減少、原材料や運送費の価格高騰により、原価低減活動で十分吸収できず、下回る水準となっています。
(3)2024年3月期の重点施策、対処すべき課題
①市場環境
a. 車載市場
当社の主力である車載関連市場においては、半導体などの供給制約の緩和により生産活動は正常化へと向かうものの、グローバルでの生産台数は各国の景気減速を受けて前期比微増に留まると見込んでいます。一方でxEVは世界的な脱炭素の動きによる推進効果や各自動車メーカーの取り組みにより成長を見込んでいます。
b. コンシューマー市場、インダストリアル市場
巣籠り需要の終了による反動や中国での設備投資需要の一服感から上期を中心に調整局面が続くと見込んでいます。
②2024年3月期の重点施策
このような不透明な環境下ではありますが、xEV市場の成長を捉え売上拡大に努めて参ります。利益面では、自動車生産台数減、原材料費等の高騰影響等により、中期経営計画を下回る状況となりますが、以下の5つの施策を継続して注力して参ります。
・収益構造改善プロジェクトの刈り取り
・戦略製品のラインナップ強化
・営業力の強化
・生産能力拡大、BCPの強化
・新ERPシステムの円滑な立ち上げ
③2024年3月期の見通し
連結売上高550億円(対前期比4.0%増)、連結営業利益77億円(対前期比10.9%増)、連結経常利益75億5千万円(対前期比1.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益 57億円(対前期比2.9%増)を見込んでおります。為替レートは、130円/ドル、140円/ユーロ、19.5円/人民元を前提としております。
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